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社労士コラム
~【育児介護休業法】人事担当者必見!対応漏れを防ぐ「チェックリスト」と即効性のある「運用のツボ」~

記事作成日:2026 年 3 月 25 日
【育児介護休業法】人事担当者必見!対応漏れを防ぐチェックリストと即効性のある運用のツボ
監修者
社会保険労務士法人ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場 栄

3,500社を超える企業の就業規則改定を行ってきた実績を持つ。また、豊富な経験と最新の裁判傾向を踏まえた労務相談には定評があり、クラウド勤怠のイロハから給与計算実務までを踏まえたDX支援を得意としている。
https://www.human-rm.or.jp

目次

  1. はじめに
  2. 育児介護休業法の2025年法改正対応見直しチェックリスト
  3. 制度導入後に表面化した「実務の壁」を乗り越えるヒント
  4. まとめ

はじめに

2025年4月・10月の相次ぐ育児介護休業法改正から数か月以上経過しました。
実際に各制度の対応が進む中で、「制度は作ったものの、周知やシステムの設定に細かな漏れが見つかった」「当初の想定と現場の運用にズレが生じている」といった課題に直面することもあるのではないでしょうか。本記事では、これまでの対応を改めて総点検し、実務上の課題を解決するポイントをご紹介します。

育児介護休業法の2025年法改正対応見直しチェックリスト

改正対応の基本から見落としやすい要素まで、漏れやズレがないか今一度確認してみましょう。なお、改正の全体像は以下をご参照ください。

⇒参考:社労士コラム ~人事労務担当者必読!今すぐ取り組むべき&検討すべき法改正情報一挙公開!

育児介護休業共通・システム連携確認事項

制度の新設や拡充に伴い、運用の土台となる従業員および家族の最新情報を正確に把握することが重要です。

確認対象 チェックポイント
扶養の情報 身上変更申請(出産・扶養増)と勤怠・人事等システムのデータ連携確認
子の情報 子の生年月日の登録
年齢到達時(3歳・小学校就学前・小学校3年生修了)のチェック方法の確認
家族の情報 介護対象家族の登録状況の確認
育児休業の改正確認事項

対象範囲の拡大や取得事由追加といった既存制度の拡充に加え、柔軟な働き方を支える各種措置の導入も新たに義務化されました。

・子の看護等休暇の拡充・名称変更
確認対象 チェックポイント
就業規則 対象者を「小学校3年生修了まで」の子を養育する親へ変更
取得事由に「感染症に伴う学級閉鎖等」「入園(入学)式、卒園式」を追加
休暇名称を「子の看護等休暇」へ変更
労使協定 除外対象から「継続雇用期間6か月未満」を削除
社内運用 入社後6か月未満の従業員も取得可能にする
対象者(小学校3年生修了までの子を養育する親)へ利用方法を周知
休暇承認者へ対象・申請事由追加を周知
システム対応 「小学校3年生修了まで」の子を養育する従業員へ休暇付与の設定
休暇名称を「子の看護等休暇」へ変更反映
・所定外労働免除の対象者拡大
確認対象 チェックポイント
就業規則 対象者を「小学校就学前まで」の子を養育する親へ変更
社内運用 対象者(小学校就学前までの子を養育する親)へ利用方法を周知
システム対応 新たに免除を申請した従業員の残業上限設定の見直し
・育児期の「柔軟な働き方」のための措置
確認対象 チェックポイント
就業規則 5つの選択肢(短時間勤務、時差出勤、テレワーク、保育支援、新たな休暇)から導入する2つ以上の措置の具体的な実施内容を明記
労使協定 各措置(時差出勤・テレワーク等)の利用条件に関する規定の整備
社内運用 対象者(3歳未満の子を養育する親)に対して制度利用に関する個別周知および意向確認
選択された措置の適用期間・実施内容の記録および管理フローの策定
システム対応 選択措置(短時間勤務・時差出勤・休暇設定等)に対応する設定変更
個別周知および意向確認対象者の抽出方法の確認
・育児休業取得状況の公表義務適用拡大
確認対象 チェックポイント ※自社の従業員数が300人超の場合
社内運用 前年度の取得実績(男性・女性別)の算出
自社HPや「両立支援のひろば」等で年1回公表準備
システム対応 公表用データの抽出
介護休業の改正確認事項

40歳到達時の個別周知が義務化され、介護離職を防ぐための「環境整備」と「意向確認」に加え、休暇取得の要件緩和への対応も必要です。

・介護離職防止のための「雇用環境の整備」と「個別の周知・意向確認」
確認対象 チェックポイント
就業規則 介護相談窓口を記載
相談・申出を理由とする不利益取扱いの禁止規定を整備
社内運用 40歳到達時等における制度案内・周知フローを策定
介護状況の申告や意向確認のための面談・アンケート等の運用ルール化
システム対応 40歳等の対象年齢に達した従業員の抽出
介護休業等の意向確認内容の記録
・介護休暇を取得できる労働者の要件緩和
確認対象 チェックポイント
労使協定 除外対象から「継続雇用期間6か月未満」を削除
社内運用 入社後6か月未満の従業員も取得可能にする
育児介護休業共通で押さえておきたい運用のプラスα
  • 両立支援の強力サポートとなるテレワーク環境の整備
    育児や介護と仕事の両立を支援する上で、テレワークは極めて有効な手段となります。現在は未導入、あるいは利用が限定的な職場であっても、両立支援の一環として導入を検討しましょう。あわせて、従業員が心理的抵抗なくテレワークを選択できるよう職場環境を整えるとともに、パソコン等の機器貸与や通信費・光熱費といった費用負担などの運用ルールについても、明確に策定しておくことが必要です。
  • ハラスメント防止と不利益取扱いの禁止の周知
    制度利用の申出や取得を理由とした不利益取扱いは法律で禁止されています。特に「介護」についても個別周知が義務化されたため、パタハラ・マタハラ対策に加え、「ケアハラ(ケア・ハラスメント)」の防止措置も重要です。ハラスメントは上司からだけでなく同僚の間でも起こり得るため、管理職への教育はもちろん、全従業員を対象とした研修を実施するなど、組織全体での意識改革が不可欠です。

具体的な対策として、不利益取扱い禁止に関する規定整備と周知を徹底しましょう。あわせて、窓口担当者が当事者の場合も想定した代替ルート(外部窓口や別部門の担当等)を確保し、プライバシー厳守を前提とした相談体制を確立しましょう。

制度導入後に表面化した「実務の壁」を乗り越えるヒント

制度は単に導入するだけでなく、従業員がその内容を正しく理解し、必要な時に気兼ねなく利用を申し出ることができて初めて、真に機能します。しかし、いざ運用を始めてみると「なぜか上手くいかない」と壁にぶつかることも多いのではないでしょうか。従業員一人ひとりの状況に寄り添い、丁寧に対応しようとするほど、担当者の業務負担は雪だるま式に増えていくものです。また、良かれと思って導入した新制度が、予期せぬ新たな問題を引き起こすケースも少なくありません。

そこで、解決の糸口として、「周知・案内」「利用の申出と調整」「利用状況の管理とフォロー」という各ステップにおける運用のポイントをご紹介します。

Step1:周知・案内
  • 「聞いてない」を防ぐ先行・定期プッシュ通知
    制度の案内は、導入時の一度きりで終わるものではありません。入社時期や年齢、家族構成の変化といった従業員の個別状況に応じ、タイミングを逃さず継続的な案内が必要になります。理想的なのは、入退社手続きや給与計算と同様に、この「周知・案内」を定期業務として無理なく組み込むことです。これらを担当者の業務負荷を抑えつつ実現するためには、案内業務の定型化が欠かせません。

その土台として、まずは従業員および家族情報は人事労務システムへ集約するなどして、一元管理の仕組みを作りましょう。

  • 組織全体の「ケア・リテラシー」向上
    上司や同僚による無意識な言動が、意図せずハラスメントを招き、制度を名ばかりのものにしてしまうことがあります。「育児は奥さんに任せて、君はこれまで以上に頑張って稼がないと」など「良かれ」と思ってかけた言葉でも、相手や状況次第でハラスメントになり得るという認識を持つことが重要です。

これを防ぐためには、研修等を通じて、相手の立場に配慮した対話スキルの底上げを図りましょう。相互理解を深めることで、誰もが気兼ねなく制度を利用でき、周囲も納得感を持って支え合える、健全な職場環境を醸成しましょう。

Step2:利用の申出と調整
  • 判断のブレを防ぐ「制度のメニュー化」
    「柔軟」という言葉から「何でも通る」と期待する従業員と、「前例がない」と戸惑う管理職との間で、認識のズレが生じがちです。

そこで、利用条件・期間・業務調整ルールを「メニュー化」して周知し、個々人の解釈に左右されない共通の基準を作りましょう。人事・上司・本人・周囲が同じ前提に立つことで、誰もが迷わず制度を利用できる状態を目指します。
これにより、上司による対応の差や不公平感を解消できるとともに、明確な統一ルールに基づいて運用することで、管理工数を抑えた円滑な組織運営を実現します。

  • 認識相違を防ぐ「合意形成プロセス」を含めた総合的な記録管理
    制度利用において「希望が通らなかった」「聞いていたことと違う」といったミスコミュニケーションは避けて通れません。万が一のトラブルに備え、「いつ、誰に、何を説明し、どう合意したか」という協議背景を正確に残しておくことが重要です。

そのためには、決定事項(結果)や案内資料の交付履歴にとどまらず、人事労務システムの身上変更申請や勤怠システムの勤務・申請履歴などを紐づけましょう。決定に至る「過程」と「結果」を証拠として集約することは、担当者変更時の確実な業務引継ぎにも役立ちます。例えば、家族情報への子供追加申請にあわせて所定外労働免除の申出があった際、対話の記録や決定事項に加え、勤怠システム側でのアラート設定状況を勤務履歴と照合することで、所定外労働免除が適用されているかを確認でき、正しく運用されている証拠となります。このようにシステムと連携して管理することで「適切な案内と対応が行われた客観的な記録」が蓄積されます。

こうした運用の積み重ねが、将来的な不利益取扱いやハラスメントの指摘から、会社と担当者を守る盾となります。

Step3:利用状況の管理とフォロー
  • 制度利用と業務の可視化
    支援制度がさらに多様化したことにより、育児休業の分割取得だけでなく短時間勤務や所定外労働免除等、「誰がどの制度をいつまで使っているか」という個別の状況が複雑化しています。そして、気づかないうちに管理が形骸化し、特定の担当者の記憶に頼ってしまうことも少なくありません。

こうした事態を防ぐためにも、育児休業の取得状況や終了予定、短時間勤務の利用状況については、人事労務システム等を活用して一元管理しましょう。さらに、勤怠データの可視化によって、育児介護に携わる従業員が所属する部署の負担増をいち早く察知することができます。これにより、周囲との迅速な業務調整が可能になります。

この客観的な把握こそが、現場の不公平感を解消し、組織の不協和音を未然に防ぐ一助となります。

まとめ

新たな制度を組織に根付かせるために、誰もが迷わない明確な基準を柱とし、現場に無理をさせない持続可能な形を作り上げましょう。同時に、不公平感や過度な負担を防ぐには、客観的な事実に基づきつつ、相手に寄り添った対話を重ねることが不可欠です。それらを両立するために、必要に応じてシステムを活用し、心理的な余裕を生み出してください。

こうした取り組みは、人手不足が深刻な今、育児・介護による離職を防ぐ重要な「経営戦略」です。単なる法対応に留めず、組織の持続的な成長に向け、互いを尊重し支え合える温かな職場環境を実現しましょう。

セコムトラストシステムズからのご紹介

最後に、セコムトラストシステムズから、今回の記載内容とも関連する育児休業管理にもご活用いただける「セコムあんしん勤怠管理サービス KING OF TIME Edition」の機能についてご紹介します。

《休業機能:育児休業制度について》

育児介護休業法改正後の育児休業管理で大切なのは、制度を用意することよりも、日々の勤怠管理へ正しく反映し続けることです。

『セコムあんしん勤怠管理サービス KING OF TIME Edition』では、休暇区分で「休業機能:育児休業制度で使用」を設定することで、育児休業期間が自動的に勤怠へ反映され、出勤率の計算にも正しく反映されます。そのため、育児休業期間が有給休暇の計算から抜けてしまうといった心配がありません。

休業の開始日と終了日を入力するだけで、勤怠や有休の管理、実績データまで自動で連動します。管理がシステムで自動連動されることで、担当者の手作業や属人的な管理を抑えつつ、ミスを防ぎながら法律に沿った運用を実現できます。

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