なぜ今、SASEが必要とされるのか?
クラウド・テレワークの普及に伴うセキュリティモデルの変化と実務的な対応の方向性

2026.07.01

なぜ今、SASEが必要とされるのか?

近年、クラウドサービス(SaaS/IaaS)の普及やテレワークの定着により、企業の業務環境は大きく変化しています。これにより利便性や柔軟性が向上する一方で、従来の「境界型防御」を前提としたセキュリティ対策は、必ずしも十分に機能しないケースも見られるようになっています。

また、サイバー攻撃の手法も高度化・多様化しており、企業には「安全性の確保」と「業務効率の維持」を両立する新たなアプローチが求められています。こうした背景のもと、近年注目されているのが「SASE(Secure Access Service Edge)」という考え方です。本記事では、なぜSASEが必要とされているのか、その背景と役割を整理します。

従来の「境界型防御」が課題となる背景

従来の企業ネットワークでは、「社内=信頼」「社外=非信頼」という前提のもと、ネットワークの境界をファイアウォール等で防御する、いわゆる「境界型防御」が主流でした。しかし、現在の業務環境においては、こうした前提が成立しにくくなっています。

背景①:クラウドサービスの利用拡大

業務システムの一部または多くが、社内環境からクラウド(SaaS/IaaS)へ移行しています。その結果、ユーザーが直接クラウドサービスへアクセスするケースが一般化しています。

このような構成では、従来の「境界型防御」だけでは、十分な制御が難しい場面も想定されます。

背景②:テレワーク・モバイルワークの定着

リモートワークやモバイル端末の活用により、業務環境はオフィスの外へ拡張しました。これにより、従業員・端末・データは物理的に分散し、「守るべき境界」が曖昧になっています。結果として、従来の境界中心の対策では、社外で発生する通信やアクセスの可視化・制御が課題となるケースがあります。

背景③:脅威の発生ポイントの多様化

近年、以下のような様々なインシデントが発生しています。

  • Webアクセスを介したマルウェア感染
  • 認証情報の不正利用(アカウント侵害)
  • 誤操作や内部不正による情報漏えい

これらのインシデントは境界の外側だけでなく、内側で発生するケースも多く、従来の「入口防御中心」の対策だけでは十分に対応できない可能性があります。

SASEに期待される主な役割

こうした環境変化に対応するためのアプローチとして提唱されているのが、ネットワーク機能とセキュリティ機能をクラウド上で統合的に提供する「SASE」です。SASEは特定の製品や単一機能ではなく、複数の技術要素を組み合わせた概念であり、導入や構成は各企業の要件に応じて検討されます。以下に、一般的に期待される役割を整理します。

① クラウド利用を前提とした安全なアクセス経路の整備

従来のようにVPNを経由して社内ネットワークからクラウドへ接続する構成は、状況によっては通信遅延の要因となる場合があります。

SASEでは、ユーザーの利用環境に応じて、セキュリティを担保しながらクラウドサービスへ直接接続する構成(例:インターネットブレークアウト)を実現することで、通信経路の最適化が図られるケースがあります。

※通信品質や効果は、ネットワーク構成や利用環境に依存します。

② ユーザーおよび端末単位でのアクセス制御

「社内外を問わず、すべてのアクセスを検証する」というゼロトラストの考え方は、近年多くの企業で採用が検討されています。その中でも特に、従来の「ネットワーク単位」での制御から、「ユーザー・端末単位」での制御へ移行することが重要視されています。

例えば、以下のような制御が可能になります。

  • ユーザー属性に応じたアクセス権の付与
  • 端末のセキュリティ状態に応じたアクセス制御
  • 未承認端末やリスクの高い接続の制限

これにより、アクセス制御の粒度を高めることが可能となります。

③ ログ・通信・データ操作の統合的な可視化

通信ログ、認証ログ、データ操作履歴などが個別に管理されている場合、インシデントの兆候把握や原因分析が難しくなることがあります。

SASEでは、これらの情報を統合的に可視化し、ポリシーを一元管理することで、セキュリティ運用の効率化や検知精度の向上が期待されます。

※実際の可視化範囲や分析能力は、導入するサービスや設定内容により異なります。

クラウド活用や働き方の変化に伴い、企業ネットワークに求められる要件は大きく変化しています。その中でSASEは、「ネットワーク」と「セキュリティ」を統合的に見直すための一つの有力なアプローチとして位置付けられています。

一方で、SASEは万能な解決策ではなく、既存環境や業務要件によって適切な構成や導入範囲は異なります。そのため、自社のリスクや運用体制を踏まえた上で、段階的に検討・適用していくことが重要です。

セコムクラウドセキュリティゲートウェイの
お問い合わせ・ご相談はこちら