電子帳簿保存法の対応におけるタイムスタンプの活用

2025.07.25

電子帳簿保存法の「電子取引データ保存の真実性の確保」「スキャナ保存のタイムスタンプ付与」要件を満たすためにタイムスタンプを活用することができます。

ここではクラウドサービス等の利用を想定した参考イメージとともに、それぞれの要件とタイムスタンプの有用性を簡潔にご紹介いたします。

電子取引データ保存の真実性の確保要件

電子取引データ保存の真実性の確保(改ざん防止)要件を満たすためには、以下1.~4.のいずれかの対応が必要になります。1.と2.でタイムスタンプを活用しています。

1.タイムスタンプが付与された後に電子取引データを授受

特徴

  • タイムスタンプ付与、検証の環境が必要
  • 電子取引データ自体にタイムスタンプが付与されているため真実性の立証が容易
  • 真実性を立証するための情報も含めた他のシステムへのデータ移行が比較的容易

2.電子取引データ授受後、すみやかにタイムスタンプを付与

特徴

  • タイムスタンプ付与、検証の環境が必要
  • 電子取引データ自体にタイムスタンプが付与されているため真実性の立証が容易
  • 真実性を立証するための情報も含めた他のシステムへのデータ移行が比較的容易

3.訂正削除ができない、または訂正削除の履歴が残るシステムで電子取引データを授受および保存

特徴

  • タイムスタンプが不要
  • 訂正削除ができない、または訂正削除の履歴が残る仕組みが必要
  • データの授受、保存の両方を当該システムで行うことが必要
  • サービス乗り換え等で発生する他のシステムへのデータ移行が実施しづらい可能性がある(データポータビリティ)

4.正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規程を制定および遵守

特徴

  • 主にサービス利用者(送信者、受信者)が対応することを想定した方法
  • 設備投資が最小限
  • 人手による運用への依存度が高く、長期的に規程を遵守することが必要

タイムスタンプを利用すると、電子文書自体にタイムスタンプが付与されているため真実性を立証するための説明が容易になるだけでなく、サービス乗り換え等で発生する他システムへのデータ移行の際に、移行時点で確実にデータが存在していたことの証明、改ざん検知が可能なため、比較的簡便にデータの真実性が確保できます。

スキャナ保存のタイムスタンプ付与要件

電子帳簿保存法のスキャナ保存においては、入力に関する各種情報およびデータの関連性をスキャンシステムや運用によって確保することに加え、タイムスタンプ付与の要件があります。

他者が運営するクラウドサービスが NTPサーバーと連携した時刻証明・訂正削除履歴保存を行うという代替要件(タイムスタンプ代替要件)が認められていますが、サービス乗り換え等で発生するデータ移行の際に真実性の確保が必要なことは変わりません。

また、電子取引データ保存とスキャナ保存の両方でタイムスタンプを利用した場合、一元的な運用管理が可能になり、より効率的な運用の一助ともなり得ます。

総務大臣認定のタイムスタンプ

上記で紹介した要件をタイムスタンプで満たす場合、総務大臣認定のタイムスタンプ(総務大臣が認定する時刻認証業務において発行されるタイムスタンプ)を活用する必要があります。(※1)

加えて、課税期間中の任意の期間を指定し、一括でタイムスタンプを検証する一括検証機能も必須の要件となります。

「セコムパスポートPlus」が採用するタイムスタンプは総務大臣認定を取得しており、一括検証機能にも対応していますので、真実性の立証や取引データの移行が簡易的で、システムや人手に依存しない運用を可能にします。

電子帳簿保存法には真実性確保以外の要件もあり、関係者自身で必要な対応を理解、整理することが重要ですので、ご留意いただきたいと思います。
電子帳簿保存法のその他の要件についても、関連サービスのご紹介含めアドバイスも行っていますので、是非お問い合わせください。

電子帳簿保存法などで求められる認定タイムスタンプを利用しています

認定タイムスタンプを利用しているサービス又は業務
(総務大臣による時刻認証業務の認定)

引用元・参考文献

  1. タイムスタンプについて 総務省

    https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/ninshou-law/timestamp.html