静脈認証(Vein Pattern-Recognition)

静脈認証(Vein Pattern-Recognition) とは、個人ごとに必ず異なっている身体的特徴である静脈パターンを使って本人であることを確認することです。

静脈認証は、指紋、虹彩、網膜、静脈パターン、声紋、顔など身体的特徴を使って本人確認を行う生体認証の一つです。生体認証は、暗証番号やパスワードなどに較べ、本人になりすましにくい認証の方法であるため最近関心が高まっています。

静脈認証は、手のひら、手の甲あるいは指の静脈の血管のパターンを近赤外線で映し出しそのパターンを用いて本人確認する認証方法です。血液の成分であるヘモグロビンが近赤外線を吸収するため血管のパターンを映し出すことができます。静脈の血管パターンは、大きさ以外は生まれてから生涯変わることはありません。

静脈認証は、指紋認証に比較し、血管のパターンという外からは見えない情報を使っているためセキュリティレベルが高く、また装置の小型化、高速化が進みつつあり最近注目を浴びています。現在、いくつかの金融機関での導入が進められています。

ただし、生体認証にはいくつかの根本的な問題があることが指摘されています。

・認証に用いる生体部位の損傷、変形などへの対処で別な認証が必要となる可能性

これに対処するためには、生体認証以外の認証方法が必要となる可能性があります。

・認証に用いる生体部位をもともと持たない個人への対処で別な認証が必要となる可能性

   これに対処するためには、生体認証以外の認証方法が必要となる可能性があります。生体認証以外の認証方法を導入しない場合、人権上の問題が発生する可能性があります。

・偽造の可能性

すでにいくつかの生体認証では偽造が可能であることが実証されています。他の生体認証についても同様の可能性があります。

・変更不能もしくは困難

   通常のパスワードであれば漏洩した場合、変更することが可能です。しかし、生体認証に用いられる部位が偽造された場合、もとの個人の生体そのものを変更することは不可能ではありませんが、人権上の問題があり困難です。

・別人を本人と誤認する可能性

生体認証の精度上の問題により別人を本人と誤認する可能性があります。

・プライバシーおよび人権上の問題となる可能性

「生体認証」というと悪いイメージはないかも知れませんが、内容は「関係者に指紋押印を強制し、電子的に共有、管理する」ということです。企業や団体が生体認証に用いる部位のデータを登録するように職員に強制できるかどうかは人権上の問題をはらんでいます。また、情報漏洩あるいは目的外使用などによって深刻な人権問題などに発展する可能性があります。

これらの点から現時点では常識的には生体認証は限定した範囲でしか利用できないと考えるのが妥当です。